アニメ「黒執事 -寄宿学校編-」のレベルが高い

アニメ

そもそも「黒執事」とは

19世紀イギリスが舞台の作品。
ファントムハイヴ家の幼き当主「シエル・ファントムハイヴ」が、ある事件を境に悪魔「セバスチャン・ミカエリス」と契約を交わす。
その契約は「自分の復讐を成し遂げるために悪魔の力を求める代わりに、復讐が成就すれば自らの魂を悪魔に差し出す」というもの。

ファントムハイヴ家に使える使用人「メイリン」「フィニアン」「バルド」「タナカ」、そしてサーカス編以降新たな使用人となる「スネーク」なども癖の強いキャラクター達。

ファントムハイヴ家は代々イギリス女王に仕える「女王の番犬」であり、女王の命で裏稼業を担う。
シエル、セバスチャン、使用人達は、「死神」と呼ばれる魂を管理する者達と接触しながらも裏の世界での任務を果たしていく。

アニメは2期までパラレル、3期からは原作世界

黒執事のアニメは2008年から放送されている。
そのすべてが原作漫画と連動しているわけではなく、2008年版(第1期、天使編)と2010年版(第2期、トランシー家編)は原作の世界とは異なるパラレルワールドの作品。
第2期でパラレルワールドとしての話は一旦区切りがついた。

2014年版(第3期、ノアの方舟サーカス編)からは原作と同じ世界での話としてリスタートしている。

ちなみに現在はAmazon Primeで全作視聴可能

第1期「黒執事」(天使編)

黒執事初のアニメ作品。原作とは異なるパラレルワールド。

セバスチャン・ミカエリスと契約したシエル・ファントムハイヴは女王の番犬として裏の世界での稼業を担う。

ヘンリー卿が殺害された事件の調査の先で出会ったバリモア家のメイドにして魔犬を操る「アンジェラ」、女王の執事「アッシュ」との出会い、そしてアンジェラが不浄を嫌う「天使」であることが発覚していく。

そして、女王の正体が「老いて亡くなっていった夫の身体をアッシュによって繋がれ、永遠の若き身体となった存在」であること、シエルの両親が殺害されたことに女王が関与していること、アッシュがアンジェラと同一人物の天使であることが判明。
さらに二人はイギリスを足掛かりに世界全土を汚れなき光の国へ変えていくという目的を告げた。

第2期「黒執事Ⅱ」(トランシー家編)

第1期の続編。原作とは異なるパラレルワールド。

女王陛下と天使アンジェラ亡き後、セバスチャンがシエルの魂を喰らおうとした矢先、その魂はトランシー家当主「アロイス・トランシー」と契約した悪魔「クロード・フォースタス」によって奪われてしまう。

それは、アロイスがクロードに「実の弟の命を奪ったのはセバスチャン・ミカエリス」と唆されていたためであり、アロイスはセバスチャンへの復讐のためにシエルをつけ狙い始める。

しかし、シエルと対峙する中でアロイスの弱さが露見されていき、さらにアロイスよりも魅力的な魂を宿すシエルに目が眩んだクロードは、主であるアロイスを殺害してセバスチャンからシエルを奪い、シエルの執事となる。

第3期「黒執事 Book of Circus」(サーカス編)

第1、2期とは異なる原作路線の世界。
マダム・レッドの死、死神グレルの登場、インドの王子ソーマとその執事アグニとの出会いを経た後の話。

女王陛下から「ノアの方舟サーカス団が訪れた先で子供たちが行方不明になる事件の調査を行ってほしい」という命を受け、シエルとセバスチャンはそれぞれ「スマイル」「ブラック」という名でノアの方舟サーカス団に潜入。

サーカス団で出会ったのは、団のまとめ役の「ジョーカー」、綱渡り専門で化粧前は男性の様に見える「ドール」、蛇使いの「スネーク」、虎を従える猛獣使い「ビースト」、ナイフ投げに長けた「ダガー」、火吹き芸を持つ「ジャンボ」、空中ブランコ専門の「ピーター」「ウェンディ」といったサーカス団の面々と、医者の先生。
そして、近々大量の人間が死ぬというリストに従って現れた死神「ウィル」。

ウィルといがみ合いながらもサーカス団の仕事をこなす中、シエルとセバスチャンが入ってはならないテントを嗅ぎまわっていたところをスネークに目撃されてしまい、ジョーカー達が動き出す。

OVA「黒執事 Book of Murder」(殺人事件編)

ノアの方舟サーカス団壊滅から暫くした後、女王陛下はサーカス編での子供達の行方に関するシエルの報告に疑問を抱き、新たな命を下す。

その命とは、ドイツ人のゲオルグを招いたパーティーを開催しもてなすこと。
パーティーにはゲオルグの他、売れない小説家・アーサーや女王の側近であるグレイ・チャールズ、お馴染みの劉や藍猫など多くの人が参加。

しかしパーティー会場であるファントムハイヴ邸にて、ゲオルグが何者かによって殺害されてしまう。
さらに殺害される犠牲者は増える一方で、ファントムハイヴ邸にて殺人犯探しが始まる。

事件解決後、アーサーは一般人で唯一、セバスチャンが人間ではないという事実に行き着く。
また、ノアの方舟サーカス団壊滅以降、ジョーカー達の行方を捜しつつ、シエル(スマイル)とセバスチャン(ブラック)を仇と推測しファントムハイヴ家に潜入したスネークが登場。

シエルはスネークの能力が役立つとし、「自分達もジョーカー達を捜している」と嘘をついてスネークをファントムハイヴ家の使用人に迎え入れる。

劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」(豪華客船編)

ファントムハイヴ邸での殺人事件の解決した後のある日、新聞にて「死者が蘇る」という奇妙な記事を目撃したシエル。
さらに来客として現れた劉も、「死者を蘇らせる病院」という情報を手にしており、この病院で「アウローラ学会」と呼ばれる会合が開催されているとのこと。

シエルの許嫁のエリザベスの家族旅行先、そして次のアウローラ学会の集会が、豪華客船「カンパニア号」であることが判明し、シエルとセバスチャンは新たな使用人・スネークを同行させてアウローラ学会に迫る。

集会でアウローラ学会の創立者「リアン・ストーカー」が、大衆の眼前で既に死んでいるはずの人間の肉体を蘇生させるのだが、その動く死体は突如人を襲い喰らい始めた。
心臓を攻撃してもまるでダメージがない動く死体は船内で大量出現し、船上の客達を攻撃し始める。

そんな中で、動く死体はアウローラ学会が手を組んだ元死神にして葬儀屋「アンダーテイカー」の手により、人間のシネマティック・レコードを弄ることで疑似的に動かすことに成功した「動く死体(ビザール・ドール)」であることが明かされた。

第4期「黒執事 -寄宿学校編-」

今作から制作会社が変更となった。

豪華客船「カンパニア号」での「動く死体(ビザール・ドール)」事件から間もなく、女王陛下から新たな命を授かるシエル。

寄宿学校ウェストン校に通う女王の従兄弟の嫡男「デリック・アーデン」をはじめとした何人もの生徒が、学校から出たがらないという状態に陥っているため、この調査を直ちに行うよう命じられた。

寄宿学校ウェストン校は「校長の命令は絶対」とされ、校長に代わり学校の自治を執り行う「P4」と呼ばれる生徒4人組が学校の伝統を守っており、クラスは「スカーレットフォックス」「サファイアオウル」「グリーンライオン」「バイオレットウルフ」の4寮に分けられている。
P4は各寮から1人ずつ指名され、P4は寮弟を指定することができる。

そんな寄宿学校に、シエルはサファイアオウル寮の生徒として入学、セバスチャンはサファイアオウル寮の担任「ミカエリス」として赴任し、行方の知れないデリック・アーデンらの捜索すべく、全ての謎を知っていると思われる校長へ接触することを画策。

P4の寮弟になり、クリケット大会で優勝するなどの成果をあげてついに校長へ接触する機会を得たのだが、そこへ現れたのは、カンパニア号で目撃した「動く死体(ビザール・ドール)」となったデリックの姿だった。

第4期(寄宿学校編)の出来の良さ

パラレルで放送された原作部分を補完している

原作路線のアニメが始まったのは第3期(ノアの方舟サーカス団編)からであり、それ以前の原作路線アニメは存在しない。

パラレルワールドだった第1~2期部分では、本作でキーとなるアンダーテイカーと交流があったものの全く別の路線を辿っていたため、原作路線の本作では改めて原作視点でアンダーテイカーとの関わりをダイジェストで流していた

直近の劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」で明かされたアンダーテイカーの正体や「動く死体(ビザール・ドール)」との関係も説明されていた。

この辺りはかなり丁寧。
ちなみに、マダム・レッドの死も改めて流れていた。

クリケット対決の熱さ

力では決して他クラスに勝てないシエル達「サファイアオウル寮」の生徒が、自分達が持ち得る知能を活かして優勝を目指す。

スカーレットフォックス寮との戦い(下剤投入による不戦勝)はともかくとして、グリーンライオン寮との勝負はかなり熱い。
サファイアオウル寮がルールスレスレの準イカサマ行為(当時は実際にグレー行為で、現在は禁止行為になっているものが殆どと公式Xでポストされていた)を続けていくが、グリーンライオン寮はパワーで正々堂々とねじ伏せていく。
サファイアオウル寮もイカサマ行為とはいえそれを本番で正確に行うための努力はしっかり積み重ねており、シエルだけでなく、P4のブルーアーや寮弟のクレイトン、その他サファイアオウル寮の選手全員の努力の結晶といえる。

サファイアオウル寮優勝時にシエルが喜んでいたのは、御涙頂戴演技ではなく恐らく本音。

設定構成が上手い

これは原作側の構成なのだろうが、キャラや舞台の設定や構成がかなり巧み。

例えば、スカーレットフォックス寮のP4「エドガー・レドモンド」はクリケット対決前夜で、あのドルイット子爵の甥であることが明かされているのだが、ただのギャグ設定ではなく、デリック・アーデンの一件で死者蘇生を目的とするアウローラ学会へ繋げるコネとしての役割を持っている。

劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」でドルイット子爵はアウローラ学会と関係があり、そんなドルイット子爵の甥であるレドモンドがデリックを蘇生するためにアウローラ学会に頼み込むという流れは、劇場版を観ていたユーザーとしては巧いことやっているなと感じる。

その他、シエルの父でありファントムハイヴ家の先代当主であった「ヴィンセント・ファントムハイヴ」がウェストン校の生徒であり、シエルと同じサファイアオウル寮のP4であったり、さらにエリザベスやエドワードの父(グリーンライオン寮所属でP4の寮弟)と同じ時期の生徒(ヴィンセントよりは年下)でもあったという新たな事実も発覚。

そのヴィンセント・ファントムハイヴは第3期(サーカス編)で、ジョーカー達が父と呼ぶケルヴィンと面識が過去にあり、その当時からアンダーテイカーがファントムハイヴ家と関係があったという繋がりも描かれていながら、本作最終話でさらにファントムハイヴ家とアンダーテイカーの関係が深まったため、学校編でありながらファントムハイヴ家にまつわる設定も掘り下げられている。

最終話で使用人達にスポットを当てる

学校にいる間はファントムハイヴ家の使用人の出番が殆どなかったが、最終話でスネークを含めた使用人達と触れ合う機会が学校の外の世界で丁寧に設けられている。

使用人のうち、スネーク以外の者はクリケット対決で観戦に来ていたのだがスネークだけはファントムハイヴ邸でお留守番。
そういった描写を経て、最終話では使用人全員に加え、ソーマの執事であるアグニも登場。

ハッピーエンドでは終わらせない、さらなる続編の予感

黒執事のアニメは例外なくバッドエンドで終わっているのがお決まり。

パラレルの第1~2期でさえも、第1期(天使編)ではセバスチャンがシエルの魂を喰らおうとした瞬間にクロードに横取りされる終わり方で、第2期(トランシー家編)ではアロイスの策でシエルが悪魔となってしまいセバスチャンがシエルの執事でありながら永遠に彼の魂を喰らうことができない地獄が続くバッドエンドだった。

原作路線のリスタートを切った第3期(サーカス編)でも、ジョーカー達が父と呼ぶケルヴィンが誘拐した子供達を保護しているとされる家に赴くがそこには何もなく、結局ジョーカー達はケルヴィンに騙されて子供達を攫い続けて殺しを行っていただけという締め方になっていた。

そういう経緯があるものだから、本作4期(学校編)は珍しく使用人達と交流するハッピーエンドで終わるのかと思いきや、呪われた森という場所に辿り着いた兵士が謎の死を遂げるという、やはり不穏な形で締められた。
流石は黒執事で、こういったところは徹底している。

パラレルだったアニメ展開が原作で一部展開されており、今後もパラレルアニメの展開をなぞらえる可能性がある

原作路線の「4期(寄宿学校編)」が放送されている間に、パラレルの「第1期(天使編)」「第2期(トランシー家編)」を再び観たのだが、結構面白い部分がある。

パラレルワールドでしかなかったはずの「第1期(天使編)」「第2期(トランシー家編)」のオリジナル展開とされていたような部分が、原作が後追いする形で展開している、或いはその方向に向かっているのではないか、というところがある。

2008年版(第1期 天使編)から

アンダーテイカーが「死神」であることが当時既に判明していた

原作では、アンダーテイカーが死神であることは「豪華客船編」で明らかになった。
原作のこの話が公開された時期を調べてみると2011年8月頃とのこと。
(ちなみにアニメ・劇場版では2017年に上映された劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」で明らかになった)
死神の模範でありながら死神派遣協会から脱退しており、脱退後もどういうわけか「死神の鎌(デスサイズ)」を保有。ファントムハイヴ家とも代々関わりがあることを仄めかしているなど、「寄宿学校編」を終えても未だ謎が多い。

しかし、2008年版アニメ(第1期 天使編)では第18話「その執事、転送」(2009年2月12日放送)にて、天使アンジェラに誘拐されたシエルを追った先で辿り着いた教会にて、アンダーテイカーが死神であると既に明かされていた
ウィル曰く「このお方は、かのロビン・フットの魂を審査し、マリー・アントワネットを地獄送りにした凄腕。泣く子もすすんで魂を差し出す伝説の死神」とのことで、この時アンダーテイカーが持っていたものは、ウィルに「死神派遣協会の中でも管理官クラスの死神しか持ち出せない究極の死神道具」と言われていた。
原作と違って死神派遣協会から身を引いていないようである。
死神の武器であるデスサイズも、原作とほぼ同じ髑髏を飾った形状の大鎌であったため、この2008年放送の時点で既にアンダーテイカーの原作側の設定はほぼ決定していたのだろう。

「動く死体(ビザール・ドール)」に似た、魂宿る人形が出ていた

2008年版アニメ(第1期 天使編)の第10話~第12話では、エリザベスを攫った「ドロセル・カインズ」と呼ばれる人形師が登場している。
彼が作る泥や鉄で作った人形はどういうわけか音色に合わせて動き、ドロセル自身もまた人形であった。

しかし問題はそこではなく、ドロセルは5年前に死亡して死神が魂を回収しているにも拘わらず、ドロセルは稼働していたという点。
実はドロセルに魂を与えて動かしていたのは、天使アッシュ(アンジェラ)であり、不浄の運命を持つシエルを浄化するために行った行為だった。

この辺りは、原作側に登場するアンダーテイカーが作り上げた動く死体(ビザール・ドール)とよく似ている。
ビザール・ドールに関しても、死んで魂の回収が済んでいるはずの人間が動いているということで死神が疑問に思っているという同じ点がある。

天使アッシュ(アンジェラ)が作り上げた魂宿る人形は、ビザール・ドールの初期案のような存在と見ることもできるのではないだろうか。

若き女王に、後の原作の「動く死体(ビザール・ドール)」の様な縫合痕が施されていた

原作(及びアニメ・劇場版)では、アンダーテイカーがアウローラ学会を利用して作り上げた「動く死体(ビザール・ドール)」の頭部に縫合痕が残っていた。
この縫合痕は、その人間に宿るシネマティック・レコードを操作するために着いたものと思われ、原作「豪華客船編」及び劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」、原作及びアニメ版「寄宿学校編」で登場したビザール・ドールにも例外なく着いていた。
「寄宿学校編」で進化したビザール・ドールといわれるデリック・アーデンや最高傑作のアガレス副校長の頭部にも未だ縫合痕が着いていたため、これがビザール・ドールの明確な特徴なのだろう。

その一方、2008年版アニメ(第1期 天使編)で登場した女王陛下は、老いた状態で夫を亡くしたために自らも後追いしようとした時、天使アッシュによって夫の肉体と結ばれることで、夫と一つになりつつ若い身体を取り戻しているのだが、結ばれた夫の肉体部分と女王の元々の肉体部分の繋ぎ目として、縫合痕が残っている。
女王は暫くはその若き姿を夫の肉体と共に維持できていたものの、既に死んでいる夫の肉体部分が徐々に腐敗していき、最終的に女王自身が腐敗していても夫の肉体を持ち続けたいと願ったためにアッシュに見限られ、その肉体で生命活動を維持できずに死亡してしまうという末路を辿っている。

本来ある生の理から離れ超越しているという面では、原作で死神アンダーテイカーが作り出したビザール・ドールも、2008年版アニメ(第1期 天使編)で天使アッシュが作り出した女王も似ているため、もしかしたら原作のビザール・ドールもどれだけ進化を果たしても、天使アッシュが作り出した女王のような末路を辿るのかもしれない。

ちなみに2008年版アニメ(第1期 天使編)最終話では、原作の女王と同じ姿の女性が女王に成り代わっているが、この女王は警察(ヤード)によれば偽りの女王ということになっている。

女王陛下は世界を敵に回し戦争をしようとしていた

原作(及びアニメ版)の「寄宿学校編」ラストで、「女王陛下が、動く死体(ビザール・ドール)を恐れると共にその力を欲している」という闇を現すワンシーンがあった。
元々、原作の「豪華客船編」(劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」)でアンダーテイカーがビザール・ドールについて明かした際、ビザール・ドールを動物兵器として欲しがっている人間がいると述べている。

2008年版(第1期 天使編)アニメ第20話「その執事、脱走」にて、劉は「ドイツとイタリアに軍事同盟を申し出る外交文書」を所持しており、彼から「(イギリスの)女王陛下は、フランスへ麻薬レディブランを流通させヨーロッパに戦争を生ませ、やがては世界を戦争に叩き込もうとしている」という女王の目的が明かされた。
この時点で劉は藍猫と共にファントムハイヴ家と対立し敗北するという末路を辿った。(第2期で生存が確認され敵対関係が解消されている)

原作版の女王陛下も、2008年版アニメ(第1期 天使編)の女王と同じように、(ビザール・ドールを用いた)世界大戦へ持ち込もうとしているのではないかという感じが強い。
劉と藍猫についても2008年版アニメ(第1期 天使編)と同じように、やはりどこかでファントムハイヴ家と対立しそうな感じはする。世界大戦となった場合にファントムハイヴ家よりも旨味のある取引相手が現れれば、そちらへあっさりと寝返りそう。

2010年版(第2期 トランシー家編)から

第2の悪魔と契約者がいるのかもしれない

原作(及びアニメ・劇場版)の女王陛下は、執事として「ジョン」という人物を従えている。
しかしこのジョンは、常に目を隠すゴーグルを装着していてその素顔を完全に見せていない。

目を隠す目的としては、自身が人間とは違うためにその眼を隠しているということが考えられる。
悪魔も死神も人間の瞳とは異なるため、ジョンは悪魔、死神のどちらかではないかという予想ができる。

2010年版アニメ(第2期 トランシー家編)の第2の悪魔「クロード・フォースタス」とその契約者「アロイス・トランシー(ジム・マッケン)」とは違い、原作側にはセバスチャン・ミカエリス以外の悪魔が未だに登場していないため、もしかしたらジョンは女王と契約している第2の悪魔という可能性がある。

勿論、ジョンは悪魔ではなく現在数多登場している死神の新たなキャラクターなのかもしれないし、アニメオリジナルであったはずのまさかの天使、或いはただの人間なのかもしれない。

1. 「第2の悪魔」である可能性

女王陛下が世界を戦争に陥れる目的を抱いているとした場合、女王は戦争によって生まれる利益を獲得でき、仮にジョンが悪魔で女王と契約している場合、その悪魔は戦争によって生じる大量の死者の魂を貪ることができるという、どちらにとっても利がある状況となる。

2. 「死神」である可能性

死神は死人の魂を回収することが主の仕事で、死神派遣協会に所属している。
死神が持つ「死亡予定者リスト」に載っている人間の魂を「死神の鎌(デスサイズ)」で刈り取り審査して終わるケースが殆どだが、ごく稀に「世界に役立つと判断されリストの対象外となり死亡から免れることができる」者がいる。

仮にイギリス女王が「死亡予定者リストの対象になっていない稀有な人物」である場合は、それを知っている死神(この場合はジョン)と共に行動しているという可能性がある。
ただ、動く死体(ビザール・ドール)を用いて世界へ戦争を起こそうという目的を抱いていると仮定する場合、それが世界にとってどのようなメリットがあるのかどうかは不明。

3. 「天使」である可能性

2008年版アニメ(第1期 天使編)の若き女王と同じように、不浄の世界を求めているのであれば天使という概念が存在し結託している可能性も考えられる。

その場合、ビザール・ドールを用いて世界へ戦争を起こそうとするのであれば、それも汚れた世界を浄化するという意味になるのだろうか。

天使の場合、死神ではないにも拘わらずシネマティック・レコードへの干渉が可能。
シネマティック・レコードは死神が死神の鎌(デスサイズ)を用いることで抽出できるのだが、天使はデスサイズを必要とせず、シネマティック・レコードを書き換えることで対象の人間を浄化することができるなど、死神を遥かに超える能力を持つ。

死神以上の存在を出すのであれば、真っ先に候補になりそうなものではありそう。

悪魔と関わった者が行き着く末路

2010年版アニメ(第2期 トランシー家編)ではシエルとアロイスという、悪魔と契約した2人が存在し、それぞれの末路が描かれてパラレルワールドとしての黒執事を完結させた。

クロードがアロイスを見限って殺害し、手に入れたシエルという存在に痺れている一方で、トランシー家のメイドにして悪魔でもあったハンナによりアロイスの魂が保護され、シエルの肉体にアロイスの魂を宿してしまう。

肉体を得たアロイスに対し、ハンナがアロイスが弟を失った日の真実、そして悪魔でありながらアロイスに対する愛を抱いていることを打ち明けると、アロイスはシエルの肉体でハンナと契約。
アロイスが自らの魂と引き換えにハンナに命じたこととは、セバスチャンとクロードが是が非でも欲するシエルの魂を永遠に手にすることができなくなるようにする、即ちシエルが「悪魔」となることであった。

セバスチャンとクロードは何も知らず、魂など手に入れられるはずもない悪魔と化したシエルを巡って戦いを始め、結果としてはセバスチャンの勝利で終わる。
しかし、セバスチャンとシエルの間には契約状態が未だ続いており、それでありながらシエルが悪魔となったためにセバスチャンは永遠にシエルの魂を喰らうことができず、意味もなく契約関係が続くという、セバスチャンにとってはこの上なく地獄のような状態をアロイスとハンナに与えられ、彼らの物語は終わり無限に続く形で締められた。

一方のアロイスは、契約が叶ったことでハンナに魂を喰われて死亡。
しかし、ハンナの内で彼女が喰った弟・ルカの魂と再会し、クロードが死の間際にアロイスを主と認め、トランシー家の使用人やクロードと再会でき、アロイスが欲しかったものを魂を喰われた先で全て手に入れている。
つまるところ、戦いに勝って生存しているシエルとセバスチャンはアロイスに敗北し、死亡したアロイスが一人勝ちしたという超歪な構図でパラレルのアニメ版は完結した。

シエルの魂を最高の状態で喰らうために懸命に彼の魂を育てているセバスチャンにとっては地獄のようなバッドエンド、敵側であるアロイスの圧倒的勝利という完結はかなり黒執事らしい展開であり、原作側もセバスチャンが契約に従ってシエルの魂を喰って終わり、とはならない可能性はある。

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