粉瘤の摘出をしてきた

日常

粉瘤とは

ニキビとよく似ているが異なる。
結構前は「脂肪の塊」とも呼ばれることも多かったようだが違う。

皮脂や角質が皮膚内に蓄積されて構成された良性腫瘍を「粉瘤」といい、下記の様な経緯で発生するとのこと。

  1. なんらかの原因で、表皮細胞が皮膚の開口部から深いところへ入り込む
  2. 皮膚内で表皮細胞が袋状の壁(嚢腫壁)を作る
  3. 袋状の壁の中に皮脂や角質といった老廃物などが蓄積されていき腫瘍化。蓄積量が増えると肥大する

袋状の壁の中に蓄積されていったものは白いクリーム状の物体となる。

表皮細胞が入り込む入口となった開口部が黒い点(酸化により黒色化)となる。
これで粉瘤だと断定しやすいが、毛根・汗腺・脂腺が入口となった場合は開口部が見られない。
したがって、粉瘤に必ずしも黒い点(開口部)があるとは限らない

良性腫瘍ではあるが、放置しておくと稀に癌(悪性腫瘍)になる場合がある。
前述の通り、皮脂や角質がさらに入り込むことで腫瘍が肥大化するケースが殆ど。
医師によっては「様子見でもいい」と言う場合があるが、これらの点から気付いたら早めに受診して治療してもらうのが良いと担当医が言っていた。

放置しても自然に消滅することはないので、病院(皮膚科など)で治療を受けなければ回復しない。
投薬治療は不可能で、物理的に摘出する必要がある。
医師の施術以外で対処しようとすると、炎症性粉瘤へ変化し感染症を伴い、治療がさらに面倒になるのでやめたほうがいい。つまり無暗に触ったり傷つけたりしないこと

発生における「なんらかの原因」というのは多々ある模様。
人間が生きていればほぼ必ず1回は発症するようなものらしく、中には気づかず過ごす人もいるとか。
頭部・顔面・耳などに発生しやすいが、背中・腹部・陰部などにも発生する場合がある。

ニキビとの違い

ニキビとの違いは、ニキビは皮脂が毛穴に詰まってアクネ菌という菌が感染するという点。
皮膚内で嚢腫壁によって腫瘍を作る粉瘤とは全くの別物。
粉瘤の場合は内容物が老廃物のため悪臭がする。
さらにサイズも異なり、ニキビは数mm程度だが、粉瘤は数mm~10cm以上に肥大化していく。

治療

粉瘤の治療には2通りがある。

  • 粉瘤部分にパンチで穴を空け、内容物(老廃物)を搾り出し、袋(嚢腫壁)を引き抜く
  • メスで切開し、粉瘤そのものを摘出する(嚢腫壁と老廃物をそのままの形で摘出)

パンチで穴を空けて搾り出す(くり抜き法)

失敗のリスクがかなり高く、非常に再発しやすい。

老廃物を完全に取り出しても、袋(嚢腫壁)が僅かにでも残っていればこれが再び粉瘤となる。
切開をしていないので皮膚内の状態を確認できず、袋(嚢腫壁)の取り残しがないかを判別しにくい。
さらに、隠れた粉瘤が奥などにあった場合にはまず対応できない。

特に、袋(嚢腫壁)が皮膚に強固に癒着している場合はくり抜きで全てを取り出すことはほぼ不可能で、そもそも癒着していなくても粉瘤の全てを完璧にくり抜ける医師はかなり少ないらしい。

ちなみに、くり抜き法ができるのは数mm程度の場合のみ。

傷跡は少なくて済むのが利点だが、高い再発リスクを抱え再発する度にパンチで穴を空けることになる。
再発する度に袋(嚢腫壁)の皮膚への癒着が強くなっていく。

切開して摘出する(切開法)

再発のリスクはほぼない。

くり抜き法と異なり、皮膚を切開して内部の状態を目視でき、粉瘤のでき始めた部分である開口部ごと切除する。
例え、袋(嚢腫壁)が強い癒着をしていたとしても「切除」という手段で確実に袋(嚢腫壁)を全て引き剥がすことができる。

袋(嚢腫壁)や内容物を完全に摘出でき、粉瘤が複数存在するなどの不測の事態にも対応できるため、再発はまずないとのこと。

切開の傷跡が発生し切開部分が修復するまで制限がかかるなど発生するが、完治を望むのであれば切開法を選択すべきか。
何度も再発し何度もパンチで穴を空けられるよりも、1回の切開でほぼ100%確実に終わらせた方が普通は楽では?

自分の場合

左頬に粉瘤らしきものが発生した。
大きさは数ミリ程度だが、日に日に大きくなっているようで、形状も皮膚の上からくっきりと分かるくらいにはなっていた。

洗顔時や入浴時などに患部を触れた際に気になるのと、先述のリスクがあるため早期治療を望んだ。

診断

やはり粉瘤だった。
触診でつまんでもらった感じでは、結構な固さの粉瘤とのこと。(結構強くつまみやがって……)

治療法として、案の定パンチでの「くり抜き法」を提案された。
が、説明中に割って入って「切開法」をすぐさま求めた。完治を目的として来院しているので、再発リスクの高いくり抜きは御免被る。

食い入るような返事の速さにたじろいだ様子だったが、ともかく治療は切開法でいくことになった。

術後は傷がおよそ回復する1週間程度はガーゼ着用、激しい運動と入浴(湯舟に浸かる)は血行が良くなることから禁止3~5日くらいはそもそも治療部位に水をかけないこと(洗顔時は防水絆創膏を用いる)細菌感染防止の化膿止め薬を飲むなどを説明された。

摘出手術

局所麻酔を打ち込まれる。やはり打ち始めが痛い。
麻酔が効いてきて、いよいよ摘出手術開始。

麻酔がかかっているとはいえ、皮膚を切られる僅かな感覚がある。
粘液嚢胞の時も味わったが、この不気味な感覚にやはり慣れない。

恐らく切開され粉瘤本体を発見したのだろう。
そのまま引っ張って摘出を……



なんか微妙に痛くね??





局所麻酔を打ち込んだはすなのに、痛みとして明確に感じる。

なんとか粉瘤本体を引っ張り出そうとするがダメらしい。
その直後。



執刀医「(粉瘤の)皮が皮膚にかなり強くくっ付いていてこのまま引き抜くのはちょっと無理なので、周囲の皮膚も少し含めて切り離しますね



え?
切って開いてスルッと引き抜くだけでは?

そしてジョキジョキと切られる音と感覚が来たと共に、





痛い痛い痛い痛い痛い痛いちょっと待て待て待て待て痛い痛い痛い何だこれ




局所麻酔打ったよな?何で痛いの?
皮膚がちまちま切られるような痛みを感じる。
もしかして自分は麻酔耐性90%のスキルを女神から授かった異世界転生者で、もう麻酔の効果が切れちゃったか?

何とか耐えられる痛みだったので何もアクションは起こさなかったが、これが本当にアホで、後から聞けば「言ってくれれば追加の麻酔を打ってくれていた」らしい。

そして、今切っている部分は麻酔を打った範囲の関係上から麻酔の効果が及びにくいらしい。
執刀医もすんなり引き抜けると思っていたのだろう。

とにかく痛む。
大人しく「痛いです」というサインを出せばいいものを、「まだ耐えられる」という謎のプライドで耐え続ける。

最後の方は粉瘤をやや手前に引っ張っているような感覚で、切ったあとに「プチン」という感覚が来たので恐らく完全に切除され、これで終わりか…





なんかまた切り始めてんだけど





え?何を切ってんの?
まだ痛み続くの?

最早、何を切られているのか分からない中で痛みとジョキジョキ音だけを感じながら耐え抜く。
そして先ほどと同じように「プチン」と切り終えた様子。

執刀医が「終わりましたので縫合しますね」と言葉を発し、ようやく術式が終わりを迎える。

手術直後

執刀医「大丈夫でしたか?」

自分「痛かったです。」

執刀医「あの部分のあの施術は追加で麻酔打たないと痛いことが多いですからね。




我慢した方が100%損をするので痛いときは素直に「ダメです痛いです」と言いましょう。





因みに、摘出物を見せてもらうと、
独立した粉瘤が2つあった。

執刀医曰く、皮膚の上から確認できる粉瘤の他に、さらに深部にもう1つあったとのこと。

皮膚への癒着の強さ然り、これは流石にくり抜き法での完治は無理なので、切開法を選んだのは正解だった。
くり抜き法で対応していたら袋(嚢腫壁)は絶対に摘出できなかっただろうし、何より奥に潜んでいた2つ目の粉瘤に辿り着くどころかその存在にさえ気づくことはなかっただろう。

ネットで事前に念入りに下調べをしておいて良かった。
麻酔のこと以外は完璧。

薬を処方してもらい、抜糸までは気を配って過ごすことになる。

現在

手術を終えて3日程度。

ガーゼで切開部分は覆い続けているし、化膿止めの錠剤も服用中。
至って真面目な治療生活を真摯に送っている。

面倒なのが入浴時で、シャワーで洗うに留めているが、問題は顔面。
頭部の髪は洗えるが、洗い流す時に患部を意識しなければいけない。
洗面は患部以外を拭き取る程度に留めている。

早く元の生活に戻りたいところではあるが、患部が正常に回復することが第一。

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