Xの「画像編集」機能
Xに、「投稿されているポストの画像をGrokで誰でも修正を行える機能」が追加された。
自分のポストの画像を自分で編集するだけでなく、他人の画像をまた別の第三者が自由に編集することができるというもの。
これはAIがどうのではなく、自分の制作物を誰もが自由に変更を加えることができるという点が非常に問題と思える。
例えAI画像生成者であっても、別の誰かに自分のAI画像に手を加えられることは拒むのではないか。
かなり前だが、生成AIが本格的に頭角を現す前にSNS(当時はTwitter)では、「加工師」と名乗る存在が横行していた。
人のポストのイラストに勝手に手を加え、「加工させていただきました!」等というツイート(当時のポスト)と共に、加工画像を投稿する著作権侵害行為を行うユーザーを指す。
当然ながら加工師は凄まじく嫌悪されており、指摘をされれば「加工をしてあげたのに」と逆ギレをする等で、著作権どころかモラルやマナーさえもなっていない悪質ユーザーという認識で固められていた。
そこから時間が経つにつれて、加工師は徐々に姿を消していったのだが、その矢先に現れたのが生成AIユーザーという具合。
加工師と生成AIユーザーの繋がりや関連性はともかくとして、今回のXに追加された画像編集機能は、かつての加工師の著作権侵害行為を誰でも手軽に外部アプリもなく一瞬で行えてしまうという点が問題と認識している。
現行Xでこれが著作権侵害行為として法的に問えるのかどうかとなると、まずXの定める規約では下記の通りとなっている。
◆Xサービス利用規約
3.本サービス上のコンテンツ
-ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾
ユーザーが本サービス上または本サービスを通じて提出、入力、作成、生成、投稿、または表示するすべてのコンテンツ(そこに含まれる、または参照されるすべての内容を含みます)について、ユーザーはその権利を留保するものとします。ユーザーのコンテンツはユーザーのものです。すなわち、ユーザーのコンテンツ(他のコンテンツに組み込まれたユーザーの音声、写真および動画もユーザーのコンテンツの一部と考えられます)の所有権はユーザーにあります。
お客様は、本サービス上で、または本サービスを通じてコンテンツ(そこに含まれる、または参照されるすべての内容を含みます)を送信、作成、投稿、または表示することにより、当該コンテンツを、現在知られている、または今後開発されるあらゆるメディアまたは配布方法で、いかなる目的であれ、使用、コピー、複製、処理、翻案、変更、公開、送信、表示、アップロード、ダウンロード、および配布するための、世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(サブライセンスの権利を含む)を当社に付与するものとします。明確にするために記すと、これらの権利には、たとえば、キュレーション、変換、翻訳などが含まれます。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他のユーザーに対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。お客様は、このライセンスに、当社が(i)お客様によって提供されたテキストやその他の情報を分析し、その他の方法で本サービスを提供、促進、改善する権利(生成型か他のタイプかを問わず、当社の機械学習や人工知能モデルへの使用やトレーニングなど)、および(ii)当社のコンテンツ利用規約に従い、サービスにまたはサービスを通じて送信されたコンテンツを他の企業、組織、または個人が利用できるようにする権利(サービスの改善、および他のメディアやサービスでのコンテンツのシンジケーション、放送、配信、リポスト、プロモーション、公開など)が含まれることに同意するものとします。ユーザーが本サービスを介して送信、投稿、伝送またはそれ以外で閲覧可能としたコンテンツに関して、当社、またはその他の企業、組織もしくは個人は、ユーザーに報酬を支払うことなく(ユーザーは、ユーザーによる本サービスの利用がコンテンツおよびコンテンツに関する権利の許諾に対する十分な対価であることに同意するものとします)、当該コンテンツを上記のように追加的に使用します。
発効日: 2026年1月15日
(https://x.com/ja/tos)
2026年1月より有効となるものであるが、これは2024年からの規約の内容とほぼ大差はなく、特に、「Xのサービスを利用する代わりに、ユーザーはポストに関するライセンスをXに付与する」「ポスト内容は第三者が利用できる」という内容は一貫して変わっていない。
証拠としては、2024年に規約について触れた記事の通り。(ちゃんと記録しておいてよかったと思える)
新規約においても引き続き、ユーザーはXを利用するのであれば、Xにポスト内容のあらゆるライセンスを付与するという規約に同意しなければならない。
というよりも、2024年時点での規約の時点で、今回のポストの画像編集機能に関するライセンスをXに付与するという事項を既に網羅している。
そのため、サービスの利用規約に「第三者が画像の編集を行える」という明記されている以上、加工師の行為はサービス規約上では認められるものとなってしまっており、今回のXの画像編集機能に関しても言わずもがな、といった具合。
そのうえで、サービス規約に同意したうえでのサービス利用という形式上から、法的に「ポスト画像の編集に関する著作権侵害」で訴えるのはかなり難しいのではないかと窺える。
何故ならXを利用するには規約に同意しなければならないので、同意のうえで利用しているサービスの規約に定められていることに対し文句を言うのはお門違い、となるからだ。
その一方、消費者契約法には下記の通りのものがある。
◆消費者契約法
-第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
これに定められるところの「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」に、Xの規約が当てはまるのかどうかというところ。
仮に当てはまるのであれば消費者契約法第10条により、規約の「ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾」は無効となると思われるが、これまでこれが適用されたXの例が無いのが引っかかるところ。
個人的な見解
或る意味では、かつてイーロン・マスクが述べていた「対戦型SNS」の実現の一環と認識している。
テキストによる対戦だけでなく、メディアポスト、即ち画像でのユーザー間の対戦を促している形だろうか。
つまり、誰の画像であるかは問わず、その画像1枚で理想の押し付け合いをするという対戦の場を設けたという具合。
そういった場となったXに関しては、「嫌ならやめる他ない」。
規約にて定められており、利用にあたって規約に同意しているという形であるので、その規約に不服があるのであればサービスの利用はできない、つまり辞めるしかない。
因みに断っておくが、先の記事でも述べている通り、例え他のSNSサービスに移行しようとも、そこが新たな移住先となればサービスの管理の手間が増加するので、人力での管理の限界からAIによる管理を徹底せざるを得なくなり、そこからAIサーバーの管理費用を工面するため新たな負担を利用者側に強いてきたり、利権に目が眩む。
どのSNSサービスに移行しようが、最終的にはいたちごっこの流れにしかならない。
つまり「移住するだけ無駄」。
中には移住先が振るわず結局いつも通り1週間程度で逆戻りしてくるユーザーもいるだろうし、SNSを宣伝の場として用いている企業達がこのような形となったSNSをどう認識しどう動くかという点も非常に見もの。
このような事態に陥った原因の根幹が何かとなると、日本人が日本産の日本人のための巨大SNSを作ることができなかった点だろう。
XやInstagram、YouTube、Tiktokなどといったサービスは全て海外のもので、日本は自国で大衆が集う巨大SNSを作ることができず、海外のサービスにただただ依存してきた。
特にXに関しては統計上では利用者の多くが日本人ユーザーとなっており、如何に自国産に頼らず海外産への依存度が高いかが窺える。
結局のところ、自分達で自分達のものを作ることをしなかったツケが今になって自分達に回ってきてしまっている、としか言いようがない。
SNSがどういう存在であるのか、究極的に存在すべきサービスであるのかを考え直す良い機会なのではないか。
そして改めて「個人サイトとブログを持っていて良かった」と感じた次第。
先の記事でも述べている通り、危機感自体はPixiv(一応これもSNS)を利用していた当時から抱いていたので、先手を打つ形で自ら対策行動を余裕をもって踏んでおいたのは正解だっただろう。
Xへの投稿等に関する今後の対応
一応、当面の間は様子見という形をとり、Xにはイラスト投稿はしない。
イラストが出来上がった後、ブログのラフ記事のリンクをポストすることで、ブログと完成版ページ(個人サイト)への誘導を促す。
これについてこれないユーザーは切り捨てる。
当面の間、と述べてはいるが、XというSNSがどういう体制であるのかをここ数年でよく学ばせてもらっているので、恐らく無期限対応となる。
そして、他のSNSに移るつもりはない。
先にも述べた通り、所詮はいたちごっこにしかならない。
SNS文化のその先を見据えれば、移行は決して最適解にはならないと踏んでいる。
そのうえで、Xのアカウントに関してはイラスト投稿はブログリンクの貼り付けという形に変更し、その他のゲームプレイ動画や呟き、リポストはこれまで通り行っていく、という運用方法にする。
今回の件でXがサービス終了に繋がるというのであればそれまでで、その先でSNSをやろうとは思わない。
要は、SNSに依存しなくても良い体制を築き上げる必要性があると将来性の観点から踏まえており、そのための足掛かりとして今回の対応をしていく、という形。

