「ジョーカー」について
『流星のロックマン3』に登場するバトルウィザード「ジョーカー」を語るうえで、2つの書籍の存在は欠かせない。
それは以下の2点となる。
- 流星のロックマン3 究極ガイド BATTLE BLACK BOX(『BBB』)
- 流星のロックマン3 データブック SECRET SATELLITE SERVER(『SSS』)
カプコンによって発刊されているこの2つの書籍には、ジョーカーの生い立ちやサテラポリス、電波犯罪組織ディーラーとの関係、ノイズコントロールプログラムに関する裏設定が掲載されている。
ゲーム本編のシナリオテキストを読んでいるだけでは分からないことであり、『流星のロックマン3』の全てを理解するのであればこの2点の書籍の内容が必要となってくる。
以下は、それらを理解していることを前提で話を進める。
地球付近に新たに誕生した2つの巨大サーバー
『流星のロックマン2』で地球創成期より存在する電波の神「ラ・ムー」をロックマンが撃破した後、地球の電波テクノロジー、電波社会は飛躍的な進化を遂げた。
『流星のロックマン1』後に、それまで地球の電波テクノロジーやブラザーバンドを3基のサテライト「ペガサス」「レオ」「ドラゴン」を用いて管理していたAM3賢者のペガサス、レオ、ドラゴンは、FM王ケフェウスと共にAM星復興のため地球を離れた。
これら3基のサテライトはWAXAが引き継ぐことになり、フジ山頂に大容量サーバー「サテライトサーバー」を建設しサテラポリス科学班が運用実務を行うことになった。
その他、『流星のロックマン2』でDr.オリヒメが造り上げたマテリアルウェーブはリアルウェーブに進化する、ウィザードが誕生するなどで高度な電波テクノロジーを地球人類が得ることとなった引き換えに、高度な電波によりこれまでより遥かに大量のノイズが発生させてしまう結果となる。
そのノイズは地球上空で一つの塊となり巨大な赤きノイズ流星「メテオG」を形成するに至る。
メテオGは地球上から生まれたノイズにはバトルカードや電波体といった情報が含まれており、これらを流星内部の「メテオサーバー(流星サーバー)」と呼ばれるサーバーにデータとして集積しているため、メテオGは地球上空に存在する巨大サーバーといえる。
サテラポリスが造り上げたバトルウィザード第1号「ジョーカー」
サテラポリスはメテオGを研究し、強力なノイズデータを内包していることを知ると、これが悪用されないようにメテオGへのアクセスを制限。
それと同時に、メテオGをコントロールする術を模索していた。
メテオGが地球に落下した場合、その膨大なノイズにより地球の電波テクノロジーは一瞬にして消滅し、全生物も高濃度の影響で全滅してしまうため、落下を阻止する必要があった。
研究の中で、メテオGには2つのアクセスポイントがあることが判明する。
しかし、これを利用してメテオGにアクセスするには、電波テクノロジーで成り立つ電波社会に有害なノイズを大量に発生させるシステムが必要不可欠となっていた。
この危険なシステムを簡単に利用されないよう、サテラポリス随一の技術を持ち本プロジェクトのリーダーでもある科学者・ヨイリー博士らはこのシステムをサテライトサーバー深部に封印。
そして、「エースPGM(プログラム)」または「ジョーカーPGM」というノイズコントロールプログラムを搭載した電波体のみが、多重のプロテクトをショートカットしてこのシステムを用いて、エースPGM搭載電波体はサテライトサーバー「Lv.25 エース」から、ジョーカーPGM搭載電波体はサテライトサーバー「Lv.30 ジョーカー」から、それぞれ流星サーバーにアクセスできるという仕組みを構築。
また、ヨイリー博士はこの過程の中でジョーカーPGMを作り上げた際、このプログラムを搭載するためのバトルウィザード第1号「ジョーカー」をニホンとアメロッパの共同で生み出した。
ノイズコントロールプログラムによる流星サーバーへのアクセスを前提として作り出されたジョーカーだが、アクセス時に発生する高濃度のノイズがジョーカーのAIに悪影響を及ぼすことが判明。
さらに、ジョーカー制作時に人間に近すぎる容姿と思考を与えてしまっていたために、人間に対し不遜な態度をとることも問題視され、ジョーカーは自分を生み出した人間達に「失敗作」の烙印を押されてしまう。
サテラポリス内部では「ジョーカーの破壊」の意見が飛び交うが、生みの親であるヨイリー博士は慈悲からか「サテライトサーバー奥深くへの封印」という手段を示した。
流星サーバーへのアクセスを前提として作られたジョーカーの力の存在そのものである「ジョーカーPGM」を剥奪。封印を試みた瞬間にジョーカーはそれを察知してサテラポリスの施設を破壊、脱走していった。
生みの親に全てを否定されたジョーカーが辿り着いたもの
人間に近い容姿と思考を与えられて生まれたのに、それは失敗だったと否定された。
流星サーバーへのアクセスを実現するために生まれたのに、ジョーカーPGMは剥奪された。
全てを否定されて無力に陥ってそれでもなお生きている自分は、一体何のために生まれて今ここに存在しているのか。自分の存在意義とは何なのか。
自分を身勝手に作っておいて、恐れる事態となれば自分の力、存在意義を奪う。
こんな自分より弱い人間達をジョーカーはひたすら憎み、復讐をただただ誓った。
自分より弱い存在には一切容赦しない、とも。
しかしジョーカーPGMが無く人間に近い容姿の電波体として存在し続けているジョーカーは心の奥底でこうも思った。
もし、バトルウィザードではなく人間として生まれていたら。
彼は後に、表向きはキング財団のトップでありながら電波犯罪組織ディーラーのトップである「ミスター・キング」の「世界の支配」に強い感銘を受ける。
それは、彼の謳う支配で自分より弱く身勝手な人間を力によって支配下に置いて屈服させれば、自分の求め続ける存在意義の答えが見出せるかもしれないと感じたから。
自分の全てを失っていたジョーカーは存在意義を求め続け、ディーラーに加入。
そんなジョーカーを見たキングは、ジョーカーに「赤いジョーカーPGM」を与えた。
キングが収集しているノイズ結晶「クリムゾン」がメテオGコントロールを実現できることから、恐らくクリムゾンの情報が用いられているのだろう。
ジョーカーは、自分が本来持って生まれた力を再び授けてくれたミスター・キングのウィザードとなり忠誠を誓う。
キング財団の名の下でキングが保護した子供達はディーラーのメンバーとして育成され、彼らは犯罪に手を染めていき、任務の中でも父とも呼べるキングに対して感謝しながら死んでいく。
保護した子供達からどれだけ親のように感謝されても、キングにとって彼らはただの使い捨ての駒でしかない。
それはジョーカーも同じ。
所詮はキングにとってジョーカーは駒でしかない。
たとえ赤いジョーカーPGMをまるで親の慈悲のように与えられていても、所詮は使い捨ての駒。
ジョーカーは恐らくそれを理解していた。
しかし、それでも良かったのだろう。
生みの親にさえ否定された自分を初めて肯定してくれた、かけがえのない存在なのだから。
ジョーカーで懲りず新ウィザードとプログラムを造るサテラポリス
ジョーカーが己の全てを否定され奪われサテラポリスを脱走していった後、サテラポリスはこれに懲りることなく人の業ともいうべきか、ジョーカーの失敗から新たな電波体とノイズコントロールプログラムの作成に着手をしていた。
ジョーカーで失敗した大きな要因として、電波体のAIそのものにノイズコントロールプログラムの実行権限を与えてしまっていたことによるものだと判断されていた。
そのため、
- 人間的容姿を与えない
- 人間に忠実で強い自我を持たせない
- ノイズコントロールプログラムの実行権限を機械(AI)ではなく人間に与える
という要点をふまえた電波体とノイズコントロールプログラム機構が開発された。
これが、バトルウィザード第2号「アシッド」と改良型ノイズコントロールプログラム「エースPGM」となる。
ノイズコントロールプログラムの実行権限を人間に与えるという都合上、アシッドは世界初の人工電波変換機能を搭載したウィザードとして作り出された。
さらに、エースPGMはウィザードと電波変換した電波体にしか組み込めないという制限が新たに設けられた。
即ち、サテラポリスが造り上げた2体の電波体と2つのノイズコントロールプログラムにおいては、
- ジョーカーは電波変換機構を搭載しておらず、アシッドは搭載している
- ジョーカーPGMは電波変換していない電波体にも組み込めるが、エースPGMは電波変換した電波体のみ組み込める
という違いが存在している。
アシッド及びエースPGMはリスクを抑えるためかなりの制限が設けられた改良版となっている。
このように流星サーバーのコントロールを目的として先に造られたジョーカーと後に造られたアシッドは、メテオG(赤い流星)という絆で結ばれた兄弟ともいえる。
アシッドのオペレーターとなったのは、電波犯罪組織ディーラーの幹部でありながら脱走してきた暁シドウ。
彼は脱走時、ジャックとクインティアを救出できなかった無力さを恨み、彼らや人々を助け出せるヒーローとなるため戦うことを決意した。
しかし、人工電波変換はオペレーターの身体に強い負荷をかけ続けるため、その度にシドウの寿命を奪っていく。
また、ノイズコントロールプログラム(エースPGM)の実行権限をシドウに与えているとはいえ、高濃度のノイズと同調し続ける中でオペレーターは意志を保ち続けられるかどうかは分かっていない。
そのためこれらの問題を考慮して、アシッド・エースはエースPGMを搭載していない状態で戦闘を行うことになる。
エースの額のノイズコントロールプログラムのマークが灰色になっているのはこのためであると考えられる。
だが、近くに赤い流星の絆で結ばれたジョーカーが存在していれば、話は別となる。
元々ノイズコントロールプログラムの搭載を前提としてアシッドが作られているため、例えノイズコントロールプログラムを搭載されていない状態でも、兄弟でありキングによりジョーカーPGMを取り戻したジョーカーがそれを補えば、高濃度のノイズと同調する究極変身現象「ファイナライズ」を不完全ではあるがアシッド・エースにも引き起こすことができる。
そうして「アシッド・エースB」というファイナライズ形態になった際は、額に黄色いエースPGMが浮かび上がる。
ジョーカーとアシッド、この2つの電波体を造り出してもなお完全に流星サーバーをコントロールすることはできず、この2体の誕生をもってしても「失敗」という結果となっていることになる。
サテラポリスの手中にある2つのノイズコントロールプログラム
ジョーカーPGMはジョーカー脱走前に剥奪したものが、エースPGMはシドウが搭載していないものが、それぞれサテラポリスの手中にある。
これらは高濃度のノイズによる危険性、そしてジョーカーとアシッドが失敗という結果から長らく使われることはなかった。
しかし、人と人とのキズナの力でFM星最終兵器「アンドロメダ」や地球電波神「ラ・ムー」を倒し地球を救ってきた青き流星「シューティングスター・ロックマン」ではどうか。
ジョーカーでもアシッドでも懲りないサテラポリスは、この少年のキズナの力に大きな可能性を感じ、危険な賭けに出た。
「ブラックエース」版では、シドウの身の危険から保管されていたエースPGMを託されるスバル。
シドウの皆を救うヒーローの姿を受け継ぐことになる。
「レッドジョーカー」版では、生まれながらに生みの親に全てを否定され奪われたジョーカーのジョーカーPGMを託されるスバル。
ジョーカー、シドウとあらゆる元凶になったサテラポリス、ヨイリー博士の人の業の全て、ジョーカーの苦しみを背負っていく。
スバル、シドウ、ジョーカーは「正義のヒーロー」
星河スバル、暁シドウ、ジョーカーの3人はいずれも生い立ちが似ている。
『流星のロックマン3』でのジョーカーのセリフに下記のようなものがある。
- 「己の無力を知らぬ者は、無力な者より存在価値がない。力を手に入れることの第一歩は、己の無力さを受け入れることにある。そういった意味では、貴様は戦う者としてようやくスタート地点に立ったといえる」
自分が無力であることを一度痛感し、それを自身で認めたうえで力を得て自ら戦いの舞台に上がることを決意している。
これはスバルに放たれた言葉ではあるが、シドウやジョーカー自身にも当てはまるものとなっている。
先述の通り、シドウはディーラーから抜け出す際にジャックやクインティアを救い出せなかった際に無力であると痛感しており、ジョーカーもまた自身の存在意義全てを生みの親に否定され奪われた際、それを自覚した。
そしてシドウはアシッドに、ジョーカーはキングによって戦う力を得て、自分の存在意義のために戦う舞台に自ら立ち上がった。
ジョーカーがこの時スバルにこの言葉を発したのは、自分と全く同じ境遇でありながらクリムゾン工場(ディーラーアジト)にて自分自身の本質を突き付けてくれたロックマンに対する強く厳しく優しい激励、感謝だろう。
この言葉の意味は、2点の書籍によるジョーカーの裏設定を理解できていなければ全く分からないものとなっている。
『流星のロックマン3』クリア後のエクストラシナリオでのブライの「絆ごっこは卒業できたようだな」という意味もここにある。
『流星のロックマン1』ではFM王・ケフェウスとキズナを結び、『流星のロックマン2』ではDr.オリヒメとエンプティーと対峙するがキズナが結ばれ実っていった。
しかし、『流星のロックマン3』では『1』『2』のように甘い行動で解決できない現実に初めて直面し、ジョーカーが自分の存在意義を求めるためのキングとのキズナという繋がりに対し自分の「皆を守る」目的のために、ブライのムー文明との繋がりに対し「ケフェウスとの約束を果たすため」に、彼らのキズナを傷つけることになる。
これは、先のジョーカーのセリフ会話の中でのスバルの父・星河大吾の言葉を借りれば「正義」といえる。
自分が守りたいものを守り抜く行動=正義を貫くことに於いては、「誰のキズナも傷つけず自分だけのキズナを守る」ことは確かに理想ではあろうが、現実としてはそんなに甘くも単純でもない。
自分のキズナを正義を貫く意志の下で守るためには、自分の大切なものを護るためには、時には命がけで戦わないといけない。
それがロックマンであり、ブライであり、シドウであり、ジョーカーであり、大吾でもある。
彼らは自分の大切なものを護り抜くために、命をかけて全てを尽くして戦い抜いたヒーローそのもの。
だからこそ、ジョーカーもディーラーのウィザード達の憧れの存在となっており、彼らが”ジョーカーのいるディーラー“に加入するきっかけにもなっている。
ディーラーアジト戦では、ジョーカー、エース、ロックマンという3人のヒーローが自分の正義を貫くために命を懸けて相見えている。
バトルにおけるアシッド・エースとグレイブ・ジョーカー
アシッド・エースは先述の通りノイズコントロールプログラム搭載を前提として造られた電波体ではあるが、シドウの身の安全のためこれを外している。
そのため、彼が使用する技は流星サーバーではなくサテライトサーバーのデータを用いて戦っているに過ぎない。
アシッドブラスターでダウンロードして放たれる「グランドウェーブ」「ギザホイール」「ダバフレイム」「ワイドウェーブ」「ステルスレーザー」「コガラシ」は、サテライトサーバーの「Lv.25 エース」のものとなっている。
「ウィングブレード」はブラックエース版のシナリオでも語られた通り、サテラポリスの最終兵器として作られたバトルカード。
一方、グレイブ・ジョーカーはその姿が極限状態のノイズと完全同調を果たし究極現象「ファイナライズ」を起こしたものであるため、彼は流星サーバーにアクセスしてギガクラスバトルカードをダウンロードしている。
「サウザンドキック」「ブレイクカウントボム」「G(グレイブ)メテオレーザー」は流星サーバーに内包されているバトルカードを読み取っているものとなる。
特に「Gメテオレーザー」はメテオGの力そのものであり、シナリオでもジョーカーを失ったキングはメテオGを掌握した際、この攻撃で世界各国のWAXA支部を攻撃し、落下地点をジャミングに変えていた。
シリウスによって再構築された兄弟のリビルド個体
『流星のロックマン3』クリア後のエクストラシナリオで登場するシリウスは、全宇宙で最大容量を誇るブラックホールサーバーを自在に操る管理者。
しかし、人の心を持っているとは言い難い残忍・冷酷な性格。
彼が電波体データを再構築して作り上げる「R(リビルド)」電波体は、元の電波体よりも優れた能力を有する。
メテオGに記録されたログから読み取って再構築された数々の地球の電波体も例に漏れず、その中でも注目すべきはシリウスの手前の最後の関門を守護する「アシッド・エースR」と「グレイブ・ジョーカーR」。
特に再構築されたジョーカーRは、自分の存在理由を生まれながらに否定されることもなく、己が存在理由に苦しむこともなく、同じく再構築された別個体のアシッドと共に、本当の兄弟として信頼し互いを補い合い、ブラックホールサーバーにてシリウスを守る。
人の心を持ちえないシリウスによって、本来の力を発揮させるべく、人の心で本来生まれるべき形で再構築されたその存在は何と皮肉なものか。
携帯端末「ハンターVG」に隠された秘密
バトルウィザード第1号のジョーカー、第2号のアシッドを経てバトルウィザードの基礎は確立された。
この2体の失敗から、「人の容姿に近づけない」「強い自我を持たせず原則的に人間に忠実」「ノイズコントロールプログラムを前提としない」という3点をもって、一般のバトルウィザードは普及する。
メテオGによる地球へのノイズの影響、電波ウィルスの狂暴化などへ対策を講じるべく、サテラポリスは電波ウィルスの撃退に特化した新たな携帯端末「ハンターVG」を完成させる。
ウィザードアダプターを変更することでウィザードの切り替えを行うことができたり、高濃度のノイズ率への対応、ノイズウェーブへの入り口となる危険なノイズゲートを自動検知するなどのメテオG由来の問題に対応できるような機能が搭載されている。
しかし、一般人には知る由もない機能として、全ハンターVGには「電波変換認証プログラム」が極秘に内蔵されている。
これは、サテラポリスが管理するサテライトサーバーに電波変換の認証コードをハンターVGが送信・登録することで、端末側の電波変換のロックを解除できるようになっており、サテラポリス側は24時間常時、不正な電波変換がないかを確認し続け、発生した場合は必要に応じ介入、拒否を行える仕組みになっている。
ただ、このシステムは電波変換を行うウィザードをサテラポリスが確認できている場合にのみ機能し、ディーラーなどの電波体は未確認のため介入ができない。
究極的には、アシッドの完成を経て、電波変換を前提とした携帯端末に仕上げられているといえる。
サテラポリスがサテライトサーバーにて承認している電波体、承認コード(トランスコード)は下記の通り。
- 000 グレイブ・ジョーカー
- 001 アシッド・エース
- 002 ブライ
- 003 シューティングスター・ロックマン
- 004 ハープ・ノート
- 005 オックス・ファイア
- 011 ウルフ・フォレスト
- 020 キグナス・ウィング
電波変換機構を持たないジョーカーが「トランスコード000 グレイブ・ジョーカー」として設定されているのは、開発当初のコンセプトが、流星サーバーにアクセス・コントロールしその力を得ることがジョーカーに於ける或る種の電波変換であったことによるものと推測できる。
しかし、人類のその愚かな欲望は深い絶望と憎しみを生み出してしまった。
2つのノイズコントロールプログラムの能力
ノイズコントロールプログラム「エースPGM」または「ジョーカーPGM」を搭載した電波体は、ノイズと同調することで、メテオGの流星サーバーに格納されているノイズチェンジデータベースへアクセスすると同時に、格納されている電波体のデータを無作為に1つ自動的にダウンロードし、自らをその電波体と酷似した見た目と性能に切り替える。
これが「ノイズチェンジ」となる。
ノイズチェンジを果たした電波体は、戦闘中に放出されるノイズの量に応じて性能と色合いが変化し、不全な状態を「フォームアウト」、一定以上のノイズを浴びてノイズチェンジの力を引き出している状態を「カラーアウト」と呼ぶ。
また、戦闘中に別のノイズを掛け合わせる「マージアウト」と呼ばれる現象も存在する。
サテラポリスもこのノイズチェンジ現象の存在自体はメテオGの解析によって確認しており、データの一部をコピーすることで疑似的に再現することが可能になった。
このシステムはサテライトサーバーに「変身アーカイブ」として保存されているが、フォルダが予め用意されているものに固定され編集できない不完全なものとなっている。
但し、この「ノイズチェンジ」だけではノイズコントロールプログラムの真の力は発揮できておらず、流星サーバーの力をほんの僅かに引き出している現象に過ぎない。
ノイズコントロールプログラムの真価とは、極限状態のノイズと完全同調し流星サーバーの膨大なデータをコントロールすることにある。
戦闘中に極限状態に達したノイズ(目安としてノイズ率200%以上)が発生している場合、ノイズコントロールプログラムはサテライトサーバーのプロテクトをショートカットし、流星サーバーの2つのアクセスポイントのうちプログラムに対応したものを1つを自動的に選び、流星サーバーへのアクセス要請通知をオペレーターのハンターVGへ送り込む。
エースPGM搭載の電波体はサテライトサーバーLv25.エースから流星サーバーLv.1アルファ~Lv.12ミューのいずれかへ、ジョーカーPGM搭載の場合はサテライトサーバーLv.30ジョーカーから流星サーバーLv.13ニュー~Lv.24オメガのいずれかへ、それぞれアクセスが可能となる。
発生しているノイズが多いほどよりレベルの高い(ノイズが濃く深い)階層へアクセスできる。
そしてこの極限状態のノイズの中で流星サーバーへのアクセスを承諾した場合、その電波体は極限状態のノイズと完全同調を果たし、メテオGへアクセスできる究極の存在へと変身する現象「ファイナライズ」を起こす。
この「ファイナライズ」という現象を引き起こした電波体はその姿を維持し続ける限り、ノイズ結晶「クリムゾン」で構成された装甲をその体に纏うことで様々なアビリティを得て基礎戦闘能力を飛躍的に向上させると共に、アクセスした流星サーバーの階層のバトルカードを無限に使用できる。
ファイナライズを引き起こせることが確認されている電波体は、グレイブ・ジョーカー、アシッド・エース、シューティングスター・ロックマンの3体のみ。