2025年夏アニメ(タコピー量多め)

アニメ

前置き

相も変わらず異世界系主体の無双作品や令嬢作品といったおじさん・おばさんの願望を全面に出した作品が多め。
最近では追放されて逆襲するタイプや溺愛タイプのものも出ているが根本は従来の願望丸出しのものと大差はない。
ステータスオープンや露骨なチート能力は目も頭も痛くなってくる。

少し前にXで、
なろう系作品の殆どは『対等な友達』が存在せず、自分を称賛する者か自分が見下せる者のどちらかしかない
というポストが伸びていたのが目に留まったが、これは割と的を射ているものだと思える。

特に奴隷キャラクターを手に入れて己がものとするという傾向が多いのだが、これは人と関係を結ぶ過程を極限まですっ飛ばして自分の手中に収められるからだろう。
奴隷キャラクターを出して仲間にするのが悪いというわけではなく、問題は

  • 人間関係がどういうように構築されていくのかを知らないような展開描写
  • 奴隷が存在する世界・価値観に深く踏み込んでいない

というところにある。
これらの要素があるから、奴隷は自分が楽に支配できるキャラクターを手っ取り早く入手するということにしかなっておらず、その奴隷キャラも希薄で世界も内容も薄っぺらい

また、興味深いのが、見下す対象は決まって「陰湿ないじめを行っている者」が多いこと。
作品自体は薄っぺらいのだが、この部分だけが妙にリアリティを持っているのが微妙な笑いを誘う。

どこかで見たこと・味わったことのある陰湿行為を敵・悪として描き、それを大した主張もできない(する能力を学べず持っていない)人として未熟な自分が内面の成長なく未熟なまま倒して称賛や自分が現実世界で欲しくてどうしようもないものを得る。
初めから終わりまで誰かの願望で敷き詰められたような作品。

作品の作者にその『対等な友達』が人生の中でいなかったのか、陰湿ないじめの被害者だったのかどうかはともかくとして、自分の心の中にある飽くなき欲望を満たすためには、作者・読者・視聴者にしても恐らくそういった要素が必要なのだろう。
ただ、設定やキャラが多少違うだけで根本は同じような作品群を飽きもせず何作も観続けられていくとは到底思えず、現にこういった作品群は飽きられている印象がある。

異世界設定の有無に関わらず、相手に「α番目」というランクをつけてその人物らと関係を持つような作品も目立ってきている。
こちらも根本は先述の作品群と同様であり、或る意味での「相手を徹底的に見下す」もの。
α番目より上のランクに位置する者を手中に収めることはできないが、そのおこぼれのようなα番目以下の人間なら自分でも手を出せてコントロールでき支配下における、という目下の者の弱みを探って手中に収めて見下し支配する作品。
これも、力無き者が欲しいものを可能な限り得るという願望が全面に出ている。

要は、傾向として挙げた作品群全般は足るを知る」ということができていない

人一人にできることは限られており、人生の中で全てを満たすことはできない。だからこそ次の世代に自分が人生の中で培った記憶や想いを託していき、次の誰かがそれを継承することでその世界は次へ次へと進んでいく

しかし、自分の人生における多くの失敗談を払拭させたいためなのか、「人間としての成長」を描くことができず、見下せる相手を見下して倒すことでしか称賛を得られず、そして「見た目は大人・中身は子供のまま」のくせに全てを得ようとしている。その世界で人生を学ばず、次の世代に何も託すことはなく、世界はそのキャラクターが役目を成し得た時点でもう止まってしまう
フィクションでしかないが、そういった「人としての人生観」「人間としての描写」が決定的に欠如しているように感じられる。

こういった「欲望を押しつける」系統の作品は前々から弾いている。
そして最終的に残るのは、純愛系であったり王道系であったり、メッセージや主張を内包している変わり種系であったり。

Dr.STONE SCIENCE FUTURE 第2クール

Just a moment...

(アクセス時に動画が再生されるので注意)

Dr.ゼノを誘拐したが故に千空チームを地獄の果てまで追って殺そうとしてくる最強軍人スタンリー・シュナイダーからの逃亡劇が主となる。
原作は最終話+オマケまで読破しているのでアニメーションを楽しむ感じ。

これまで超頭脳を持つ千空が科学という武器を使ってストーンウォーズや宝島を制してきたが、アメリカ編では千空の憧れであり科学の師でもある彼以上の頭脳と環境を持つDr.ゼノ率いる軍人が相手となっている。
ストーンワールドにおいてはずっとチート的技術だった科学が、アメリカチーム相手ではもうチートではないうえ、相手はこれまでの科学を凌ぐ本物の戦闘能力を兼ね備えている。

薫る花は凛と咲く

TVアニメ『薫る花は凛と咲く』公式サイト
TVアニメ『薫る花は凛と咲く』制作決定!

第2話の時点でもう紬と薫子が結ばれ始めているが、恐らくこれを原点として紬の友人や桔梗、そしてに紬と薫子に変化・成長や進歩が及んでいく作品なのだろう。
高校が舞台かつ主人公がケーキ屋なので、「進路」という「人生の選択」を主に心理的な成長を描く作品なのではないか。

原作の試し読みで非常に面白かったので継続視聴をすることに。
原作を購入したいとは思っているが、するか否かはアニメ全話を観てから決める予定。

タコピーの原罪

アニメ「タコピーの原罪」公式サイト|TBSテレビ
アニメ「タコピーの原罪」公式サイト。「このマンガがすごい!2023」オトコ編の3位に選出された。2巻完結ながら発行部数145万部を突破した衝撃作が満を持してアニメ化決定

精神的にまいってしまったという理由で第3話でリタイア
リアリティが強すぎる。

自分の両親は雲母坂まりなの両親と東直樹の親を複合したような親だったので、かなり視聴がきつかった。
第3話の雲母坂の両親が映った時に体が震え出し、東の母親が映った時に目から涙が自然に出てきて止まらなかった
これ以上観ると精神が破壊されそうなので視聴停止。これはアニメを観てきて初めて起こった。

結末は知りたいが観る勇気が出ない。
原作を買って短時間で読破した方がいいのだろうか。

毒親に狂わされる子供と、それを知って苦しんでいく頭ハッピーなタコピー

まず前提として、作中のタコピーという存在は「毒親の存在も無く人生において全て幸福を得られた完全無欠の成功作の人間」の具現化といえる。
つまり、「自分が何不自由なく幸せになれたのだから他人も全て幸せになれる」という主義を持っていることになる。これは現実でもよくある。

一方、作品の主要キャラである「久世しずか」「雲母坂まりな」「東直樹」の親は全て例外なく「毒親」。
自分がリタイアした大きな要因として、彼らの毒親が見せる姿の解像度があまりにも高すぎるという点がある。
膨大な取材を経たのか、作者自身が経験者なのか分からないが、とにかくリアリティ全振りであり経験があれば一発で分かるくらいには生々しい。

タコピーという幸福人間の具現化的存在は、そんな強烈な毒親の環境によってその生の中で初めて「幸福とは真逆の苦しみや絶望」を味わうことになり、そこから「自分は子供達に何をすべきなのか」「自分が犯してしまった罪の償い方」を考えるようになる(3話終了時点)。
子供達を苦しめる要素や存在を彼らの願い通りに消してしまえば一時的に解放こそされるものの、その行動に伴う責任や発生する罪(原罪)からは逃れることができず、苦しみを先送りにしている、一時しのぎでしかない。

現在は視聴をリタイアしているのでこの先のタコピーの行動や結末は分からない。
しかし、時を渡る能力を備えているので、何度も苦しみながら彼らを進むべき道へ進ませる方法を模索するのだろうか。

以下、各キャラの家庭環境と毒親解説
一応、経験者の観察によるもの。変な言葉遣いが多少混じってるけどこうでもしないとメンタルおかしくなりそうなので許して

しずかの親

碌な親がいない。

両親は離婚済み。
父親は家庭を捨てて東京へ移住している。

母親はしずかの親権を得ているようで、夜の仕事(水商売)を生業としているがそれだけでは収入が足りず、生活保護を受給して補っている模様。
つまり、しずかは生活保護母子家庭(母親は水商売)という家庭環境。

しかし、その母親は愛情をしずかに向けることは無く、常に娘に対して一切の興味を抱かない「無関心」タイプ。
それどころか後述のまりなの父親と関係を持つようになってしまっており、しずかはまりなから「父を奪われた」と強い憎しみを向けられるようになる。
その結果、家の中でもしずかを守ってくれる人間は一人もおらず、しずかの心の拠り所は飼い犬のチャッピーのみ
だからこそ、まりなを殺した後でもそんなことは心底どうでもよく、優先すべきはチャッピーとの再会のみとなっている。

因みにこの無関心型は母親だけでなく父親にも発現する場合がある。
また、無関心タイプはもう片方の親が後述の様々な毒親タイプであった場合に、より強力な害を齎す場合がある。
仕事に熱中して子供の成長や育児に対しほぼ無関心を続けており、且つもう片方の親がヒステリック・束縛、比較、過保護などで子供の主体性や成長を妨げていると、子供が高校生や大学生になった際に無関心タイプの親はそれまで子供に目を向けず子供の事を何も知らないくせに急に口出しをし、的外れ・身勝手・役にも立たないことを説教垂れ始めて子供をより苦しめる。急にどうした?

さらにここからこれまでの育児の方向性について両親が大喧嘩しだして、家庭内の空気が冷房もつけていないのにヒエヒエの長期氷河期になる場合もある。
決まり文句は「なんでこんな風に育っちゃったの」「お前の育て方が悪かったんだ、俺は知らん」という責任の醜いなすりつけ合い。母親がヒスタイプだと父親がこれを口止めしても同情を得るために子供にゲロってさらに子供を困惑させます

まりなの親

碌な親がいない。

父親は「誰の金で飯が食えて生活できていると思っているんだ」という、昭和の価値観の延長線上にある超高圧的な「ドメスティックハラスメント」タイプ。
風俗に頑張って頻繁に通って女の子達との夜のお勤めに入り浸っているようであり、しずかの母親ともお得意の風俗通いで知り合って関係を持っている(所謂浮気)。屋内での喫煙で部屋中に副流煙をばら撒き家族に肺がんリスクを与え続けるのも得意技
完全別作品の『昭和オトメ御伽話』によれば、昭和における夫婦とは

  • 戦前の結婚はとにかく夫を立て、要求を拒んではいけない
  • 夫が浮気をしたり放蕩三昧をしても泣いたり怒ったりするのは禁物
  • 夫が悪さをするのは「妻が至らないから」となり、まず妻が反省しなければならない

というものが常識であったようで、これを絶対主義と掲げる夫により妻へ行われる様々な暴力行為が現代のドメスティックハラスメントに繋がっているといえる。
家庭内ではかなりの頻度で物品の破損や怪我が生じるので、買い直しや治療費といった支出も多く大変。
しかし、このタイプの親はそんなものお構いなしに人もものもメンタルも自分の気が済むまで全てを破壊していくデストロイヤー。チンパンジーかよ(チンパンジーに失礼)

このドメハラは妻に強い精神的ストレスを植え付け続け、後天的なヒステリックに陥れやすい。
子供にも当然、「自分より弱い者に対してはどれだけ暴力をふるってもよく、屈服させて従わせることで自分を満たせる」といった感情を芽生えさせるなどの悪影響を及ぼす。子供は親の姿を見て自分に純粋・真摯に取り入れちゃうから仕方がないね。

そして一方の母親は「束縛系+ヒステリック」タイプ。父より母に発現しやすいタイプ。
特に、夫の強いドメハラから精神的逃避を図るため、自分の娘のまりなを都合よく支配・コントロール・洗脳して自分の味方に仕立て上げようとする。
そのために「飴と鞭」を器用に使い分けており、まず「ごめん」などの甘言(飴)で自分に対する信頼を構築し、「暴力・脅迫」(鞭)により自分に都合の悪い・自分が不快となる行動を抑制している。毒親の代表的なコントロール手段の一つで、忠実な下僕「イエスマン」の作り方。
因みにこれを育児手段として用いると、子供は自分が傷つけられないように常に相手の機嫌を窺って自分から行動をしなくなる、即ち主体性の欠如した大人(=社会では役に立たず精進しない存在)へとなっていってしまう。

タコピーが変身したまりなにも、元のまりなにも、母親は暴力で支配・コントロールしようとしていた。
タコピーに暴力をふるった際、「自分が腹を痛めて出産したまりなを返して」と母親は発しているが、これは「夫に虐げられる自分ではあるが、自分が産んだ娘だけは味方であり愛されている自分がいる」という暗示を自分にかけて納得させ自分を維持すべく、娘を自分にとって都合のいい味方に仕立て上げようとしているに過ぎない。
父のところに行こうとしてしまうまりなは、自分が産んだまりなではない。自分の産んだまりなは自分のところにいてくれる。いなければならない。逆に言えば、自分のところにいてくれないまりなを産んだ覚えはない
そのためならば娘に幾らでも暴力をふるうし、娘に謝って寄り添ってもらう。
タコピーだけでなく、元のまりなにも日常的に行っている。
相手がタコピーだろうが本物だろうが、求めているのは「自分が産んだはず自分の味方のまりな」。
だからこそ、束縛+ヒステリックタイプ。
決まり文句は「お母さんのこと大事だよね」。気に入る返事をしないと暴力+ヒスで追い調教。問いかけと暴力調教のハネリズム譜面でフルコンボ狙ってそう

なお、束縛+ヒステリックが成功すると長年にわたる洗脳コントロール調教の賜物なのか子供が親に強い依存性を持ち結婚後に相手側が苦労してまいって離婚に向かう場合が多いらしい。

直樹の親

碌な親がいない。

父親の存在は不明。
しかし後述の母親に対しなんら口を出していないので、存在しないか「無関心」タイプの可能性が濃厚。
つまり母親のストッパーとして機能していない。

母親は直樹(次男)を優秀な長男と常に比較して実力を無理やり引き上げようとする育児方法をとっている。
実家がエリートだったり身内に優秀な人がいたり、親自身に受験等の失敗による強いコンプレックスがあったりするとこのタイプの発現確率超アップ!!
何をするにしても優秀な存在と比較され続けるため、子供は焦りや劣等感といったストレスを抱き続け、それが原因となって失敗を招き、そこからさらに比較され……の負の無限ループに陥る。

こちらもやはり「飴と鞭」を悪い形で用いており、作中の直樹の場合は「100点をとれたらご褒美のホットケーキをあげる」という飴で釣り、「できなければホットケーキは没収」という鞭でぶつ。
しかし、この場合はストレスの無限ループにより母親自身が鞭で叩き続けて息子の成功への道を完全に閉ざしており、なおかつ母親が子供の行為を「褒める」ということを一切しない。それどころか「なんでできないの?」と他者との比較でひたすら追い討ちをかけていく。

褒められない子供には「成功体験」が発生しないので、「何をしても無意味」という答えに辿り着き始め、「努力」に対する熱意が徐々に無くなっていく。つまり夢も希望も抱けない「無気力」になっていく。将来の夢?生まれるわけないじゃん
コンプレックスが強めの親だと、子供の僅かに生まれた夢をマッハの速度で否定して勝手に親の夢を押しつけてそれ以外認めてくれない。なぜならそういう親にとって子供の道はその子供のものではなく親自身の人生のやり直し・再トライでしかないから。

酷い場合には子供の存在すらも否定し始め、「産まなければよかった」というファイナルメンタルブレイクエンドを使う場合もある。産めと懇願した覚えはないのにな…

だからこそ、しずかに兄の指輪を奪うことを提案され実行(努力)の末に失敗してしまった後、母とは違い否定・失望・見限りではなく笑ってくれるしずかの姿を見た直樹は、これこそ自分が母にしてほしかった反応だと感じ、安堵して泣き崩れている。

「タコピーの原罪」にはない毒親タイプ

この作品では親によって苦しめられる子供という状態を主として描いているため、描写のうえでは毒親のタイプが1つ不足している。
それは「過保護」タイプ。
過保護タイプは自分の親にはなかった要素なので自分の口からは語らない。

気になるのであれば各自調べて。

余談

ブラッククローバー 2nd Season

TVアニメ『ブラッククローバー』公式サイト
週刊少年ジャンプ(集英社)で連載開始して現在「ジャンプGIGA」で絶賛連載中の「ブラッククローバー」のTVアニメ2nd Seasonが制作決定!制作:Studioぴえろ

長らく休止していたアニメが、劇場版を1作挟んでいる中で第2シーズンスタート。

第1シーズンは悪魔リーベをナハトの従魔の儀によって仲間にしたところで終わっているはずなので、この続きからだろう。
完全にメレオレオナ目当てで観ているので、業火の化身パラディンのモリス戦での戦闘描写に大いに期待をしている。
貴様、人望ないな!!」のシーンも楽しみ。

劇場版のメレオレオナも歴代魔法帝プリンシアを一人で相手してノックダウンさせていてカッコ良すぎるの極みだった。

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