『化けの花』イベントを経て一歩を踏み出した
化けの花に到達するまで
化けの花イベントに至るまでの間は、あらゆる者達に対し本当の自分を打ち明けることから永遠の逃避を行っていた。
しかしそれが絶対的な悪手というわけではなく、「辛いときは逃げていい」という助言をまふゆにした(キティイベント)ことで、まふゆを一時的に守ることができていた(演劇イベント)。

しかしこれは一時的な逃避を指し、永遠の逃避は未来への一歩を踏み出すことを恐れて自分の世界に籠り続けてしまう。
つまり、自分のセカイはそこで停滞してしまい未来を歩むことができず、セカイを前へ進めることができない。
この辺りは『ゼノブレイド2』の記事を参照。
この表現(『ゼノブレイド』シリーズにおける「誰もが心の内に抱く恐怖という面=メビウス」)に関してはプロセカにおいては、ニーゴのユニットストーリーが始まった当初から、まふゆが生み出し他の面々も引き込まれた「誰もいないセカイ」という形で表現されている。


各々が未来への一歩を踏み出すことで、その先で自分自身の抱える恐怖に圧し潰れてしまうことを恐れ、虚無が無限に広がる中で自らを閉ざし心の孤独を抱え、行き着く先は自己の消失。
そのまま自己が消滅していけばいい。
絶望を癒してくれるのは消滅だけだ。


そんなまふゆを始めとした彼女らに手を差し伸べたのが「誰もいないセカイのバーチャルシンガー」。
まふゆが生み出した無限の絶望の中にあった、彼女自身が自らの救済を願う僅かな意志ともいえる存在。


誰もいないセカイのバーチャルシンガーがまふゆと類似する苦しみと消滅願望を抱える奏、瑞希、絵名を引き寄せることで、彼女達はたとえ惨めだとしても傷のなめ合いをしながら多くの出会いや経験を経て、少しずつ前へ進んでいくことを心の奥底で決意し始める。
ニーゴの面子のうち瑞希もまた、ニーゴの面々が自分の意志で前に進もうとする姿を見続ける中で、瑞希も心の中では既に「その理想は永遠に続くことは決してなく、逃げ続けることなどできるはずはなく、いずれ自分の秘密と向き合う覚悟を持って前へ進まなければいけない」と感じ始めていた。


他人の世界が進んでいけば、当然ながら自分の世界も必然的に進んでいく。人と自分の世界が触れ合っていくのだからそうなる。
それでも、その中で一歩を踏み出さなければいけない。


化けの花
しかし心の中が揺れている中で、自分の抱える秘密が「化けの花イベント」で不意に第三者(クラスメイト)に、よりにもよってニーゴのメンバーであり第一に話そうとしていた絵名に対して明かされてしまう。


瑞希が真に悩み恐れていたのは、秘密が知られた後にその秘密に配慮されながらこれまで通りの装いをされてしまうこと。
ありのままの自分を心のどこかで色眼鏡を以て見られ続けることになり、皆と共に歩む資格などないと感じてしまう未来に対し強い恐怖を抱いていた。




だからこそ「化けの花」の歌詞には、
- なにその目
- やっぱその目
- 見ないで 理解出来ないでしょう
- まるで咲いてしまった化けの花
- どんなに醜く映る化粧
とひたすらに「見られること」に対する苦しみが幾度も用いられているのだろう。
そうやって周囲から見られてしまう自分を彩っているのは「醜く映る化粧」とまで自虐的に表現され、「自他共にかき消すことのできない醜い化粧で化けた花が咲いてしまった」となっているのでは。
『化けの花』とは、瑞希自身に関しては自分の秘密が知られたうえで見られて抱く自分の苦しみ、他者は瑞希をこれまで通りといいつつ色眼鏡で見ることの、双方を共に”化けてしまった”ことを指していると思える。
このようなことを恐れ、瑞希は自分の秘密を明かさない選択、つまり永遠の逃避をし続けていた。
明かさなければ、知られなければ、逃げ続ければ、色眼鏡で見られることがそもそもないのだから。
しかし、時の流れは不意に残酷な現実を「運命」という形で突きつける。
そうなる運命。そうにしかならない運命。
逃げ続けることを決めた時から決まっていたも同然のことで、逃避の果てに自分の望む未来が到来することはない。これは瑞希やプロセカの話だけではなく、他の作品群でも現実でも同じ。
逃避を続けた先で第三者という運命によって「現実に引き戻された」瑞希は、その未熟な心では現実を受け止めることができず、何をすることもなくなった。自分自身を放置したのだ。



余花にみとれて
そんな逃避を行った瑞希に対し、手を差し伸べたのが「余花にみとれて」イベントの絵名。
絵名はこれまでのやり取りについて強い「後悔の念」を抱き、そのうえで「友」であり続けることを望む。


そして何より、同じ消滅願望を抱いていた自身と同じニーゴの瑞希が本当に消え去ってしまうことを何より恐れた。

しかし、瑞希は心の孤独を抱えていながらも、ニーゴの出会いを経て心の奥底では共に歩む未来を望むように変わっていた。
つまり瑞希はこの時点で、色眼鏡で見られ続けることへの恐怖からすべてを放置して何もしない意志と、今なお望み続ける一歩を踏み出し仲間達と歩む意志の2つの心が絡み合って苦しんでいた。


瑞希がニーゴとの出会いを経てかつて前へ進もうとしていた僅かな意志は既に多くの仲間を構築しており、瑞希が誰かとの繋がりを構築していたことで、その誰か達から様々な想いを絵名に託される。
特に瑞希の中学から似た孤独を抱えて知り合っていた類からは、ワンダショにて司から託された想いを絵名に託している。








そして2つの意志で苦しむ瑞希に、これまで様々な思い出を紡いできた友として共に居続けたい絵名が、瑞希の仲間達の想いを受け継いで導き出した答えこそが「寄り添う」ことで、求めていた瑞希に手を差し伸べ、安らぎを与えた。
絵名が抱いていた後悔の念の正体は「寄り添うこと」だった。


飾って
「まるで咲いてしまった化けの花」から、想いの継承を経て絵名とその仲間によって苦しみから解放された瑞希。
学校で出会った仲間や姉との再会を経て、絵名から託された想いがまた別の誰かへと受け継がれていくようになる。
まず、学校でビビバスの冬弥とワンダショの寧々と出会う。
彼らから聞いたのは、それぞれの世界で各々の目指す夢、道が決まって、それに向かって全力で挑んでいるというもの。


永遠の逃避、その中での苦しみから解き放たれ成長した瑞希は彼らに触発され、それまで見ることも考えることもなかった(至ることはまずなかった)「夢」について考え始めた。
恐怖や絶望を乗り越えて未来への一歩を踏み出した瑞希が、「夢」という未来の道に踏み込む力を持ったということになる。
ここに到達するには、絵名だけなくニーゴの皆や彰人、冬弥、杏、類、これまで出会ってきた仲間達の存在も必要不可欠だったといっていい。
その夢について、丁度帰省してきた夢を実現しつつある姉に尋ねた瑞希。


自覚するまでは明確なものを持っていなかったが、ふとした1つの「きっかけ」で夢を目指すようになった姉。
自分の想いが誰かに託され、その誰かが自分の道を歩めるようになった時に、彼女の中で「自分の目指すべき夢、道」が明確化されたのだという。
そして瑞希もまた、心の中で夢の一片を持ち始めていた。
ニーゴと出会い、絵名をはじめとした仲間達が自分の想いを守ってくれたのならば、瑞希自身もまた別の誰かの想いを守れるようになりたい、と。
託された想いを別の誰かに託すことで、誰かが笑ってくれるように。


そうして、姉のポップアップストアでその夢へ踏み込むきっかけが訪れる。
かつての自分と同じものを持って苦しんでいる客に、瑞希は声をかける。それは些細なものだったかもしれないが、それが姉に繋がる。
すると、その客は勇気をもって一歩を踏み出し、自分の進みたい道へと歩み始めることができるようになった。
瑞希と姉の想いがこの客を突き動かすことができたのである。


この経験から、瑞希は自分の夢を見出した。




服の力で、見た目だけでなく託してもらった様々な想いをも着飾ることで、自分も誰かも前へ進めると信じて。
瑞希は夢へ向かって進み始めた。
その道の中で多くの新たな困難や苦しみが瑞希を待ち受け、時にはこの道を選択したことを後悔するかもしれないだろうが、決して忘れてはいけない大切なもの、仲間達との想い出や託された想いがあれば、その道にも命がけで挑んで進んで往くことができるだろうと思う。
もう孤独ではないのだから。
瑞希個人の秘密に関しては概ね多くのユーザーが「化けの花」イベントより前から想像はできていたし、結果も予想通りだったとは思える。
ただ本質となるのは、
- 永遠の逃避に至るほどの恐怖から一歩を踏み出す(前へ進む)にはどうしたらいいのか(※余花まで)
- 誰かに守られ続けるだけではダメで、人として世界に存在している以上は誰かのために存在し生きている(※飾って以降)
- 人間は想いを継承していくことで世界を進めることができる
という、強い人生観のテーマのはず。
「化けの花」~「余花にみとれて」は瑞希が夢(飾って)に到達するために必要不可欠な人生の通過点、最初の一歩であり、瑞希自身にとってもう思い返したくないトラウマなどではなく、それらさえもが自分が前へ進むために必要な心理的に自分を着飾る衣装の一つ、想い出、即ち自分自身の力になっている。
それは、飾ってイベントで現れた女性客を見た瑞希の姿を見れば分かる。
自分はゲーム『ゼノブレイド2』やTVアニメ『遊戯王GX デュエルモンスターズ』が好きなので、似通った絶望描写や答え、前へ進むための継承・意志を瑞希ストーリーで描写してくれたのは嬉しいし好き。
瑞希かニーゴの最終ストーリーは『新たなる未来』の「Future Awaits」の映像使いや歌詞みたいな感じになるといいなあと思っていたりする。
アニメーション系路線は…流石に厳しいか。
5周年イベントメンバーの予想に関して
5周年までのカウントダウンが公式Xで開始されている。(現時点で残り20日)
SNSを見ていると、これまでの周年イベントでピックアップメンバーにならなかったのが、
- 瑞希(ニーゴ)
- 遥(モモジャン)
- 咲希(レオニ)
- 杏(ビビバス)
- えむ(ワンダショ)
の5人のみに絞られているようで、実質的に5周年イベントのメンバーはこの5人以外には考えられない、という予想で殆どが占められている。
ピックアップ予想は瑞希・遥・咲希・杏の4名で、直近のワンダショイベントでピックアップを貰ったえむが報酬★3行きという予想もまた殆ど。
で、なんでわざわざ書いているのかというと、
瑞希・遥・咲希・えむの4名はMV編成におけるお気に入りチームの1つのメンバーだから。残る1枠はVS枠でルカ。(杏も好き)
瑞希以外の3名もまた、ニーゴに負けず劣らずの中々の絶望や苦しみを持っている者達。


MVは基本的にこの5名でプレイしていることが多いので、先述の5周年予想のメンバーがその通りであるなら、好きなキャラの実質フルメンバーとなり、個人的にこの上ないドリームチームのイベントとなる。
永久保存版決定かもしれない。
エイプリルフールでも、2024年では未来チームに上記4名がおり、「ニコニコ☆食べもの探しチーム」では4名のうち瑞希・咲希・えむの3名が「エイリアンエイリアン」を担当。
2025年でもヒーローチームに上記4名及び杏が入っており、「HopeHope♡Heart」で遥・咲希・えむ・ルカの4名が「きゅうくらりん」を担当。
いずれも微妙に惜しい形だった。来年はどうなる…?
また、特にプロセカの中では瑞希と遥が好きなため、「瑞希と遥の掛け合いを増やしてほしい(キズナランク的な面も含めて)」と要望を出したことがある。
化けの花・余花イベントが終わって瑞希が一歩を踏み出すことができるようになった後、今年の1月の混合イベントでこの2人が出てくるイベントが出てきており、5周年の混合イベントも2人が登場する予定が濃厚という形。
割と感謝しかない。
ちなみに、他のお気に入り編成チームは、瑞希・遥・彰人・類・ルカの5名。
こちらはビビバス・ワンダショ曲などの男女混合ボーカルにおいて採用している。

