先の事件についてプロセカの動きがあった。
事件の経緯
先日の記事にて記載しているが、本記事でも取り上げる。
音楽ユニット「ツユ」のメンバーで作詞作曲・ギター担当の「ぷす」(旧名として「じっぷす」名義もあり)が、5月31日午前に東京・中野区のマンションにて交際相手(10代)の女性の左胸を包丁で突き刺し、殺人未遂の容疑で緊急逮捕され、6月2日朝に送検されている。
ぷす氏は、「交際相手の女性に対する殺意が明確にあった」「女性を殺した後は自分も自殺しようとしていた」と述べていたとのこと。
ぷす氏はプロセカにおいて、ワンダーランズ×ショウタイムの書き下ろし楽曲「どんな結末がお望みだい?」を作詞作曲担当で提供している他、じっぷす名義時代に作った「アサガオの散る頃に」がLeo/needのカバー曲としてもプロセカに追加されている。
公式の対応
6月12日午後18時頃に、SEGA及びプロセカ公式は本事件に対する対応の発表を行った。
対応内容としては、
- ゲーム内に存在する関連楽曲(データ、音源)の削除
- 動画共有サイトにおける『プロセカ』公式の全アカウントから、関連楽曲及びMVを非公開にする
- 各種音楽配信・販売サイトから関連楽曲のセカイVer.の配信停止
- 関連楽曲とは、ぷす氏が関与する「アサガオの散る頃に」「どんな結末がお望みだい?」の2曲を指す
というもの。
ゲーム内の楽曲データだけでなく、動画サイトで公式アカウントが保有する楽曲動画やMVの非公開化、楽曲配信の停止にも及んでいるので、自分が先の記事で述べた「公式がすべき対応」は概ね網羅している。
ただ、ゲーム内のものに関してはクリアデータなどの調整が関わるために、発表と同時に直ぐ削除というわけではなく後日対応となっている。
また、同じSEGAのコンテンツである「ゲキ!チュウマイ」(maimai・CHUNITHM・オンゲキ)もほぼ同じ対応を執ることを決定したと告知した。
個人的な見解
楽曲に関する対応
先日の記事通り、ユーザーの間でも追加されている楽曲がどうなるのかについて多くのやり取りがされていたが、個人的には「ぷす(じっぷす)」氏の手がけた曲は全てゲーム内・動画サイトなど公式の管理する部分から削除すべきであると考えていたため、今回のプロセカ公式側(Colorful Palette社、SEGA社)の対応は英断であると思う。
ただ、事件が発生して今日の対応発表に至るまで約2週間の期間がかかっているという点は気になる。
プロセカと同じように、ぷす氏の関わる楽曲をコンテンツとして提供していた他社は、より早い決断と対応をとっていた。
例えば、『beatmania IIDX』『GITADORA GALAXY WAVE』『pop’n music』などを提供している「コナミアミューズメント」は、次の通り事件発覚から1週間以内に対応を決定し発表、執り行った。
ぷす氏が実質的に全権を有していた自ユニット「ツユ」のメンバーに関しても、やはりおよそ1週間程度で対応・今後の方針の決定を表明していた。
これらと比較すると、プロセカ公式側(Colorful Palette社、SEGA社)の対応と発表はかなり遅い。
こういった事件が発生した場合、迅速な対応ができるか否かは企業の信用に大きく関わってくる。
遅れれば遅れるほど企業にマイナスイメージが付着していくため、リスクマネジメントはしっかりしていくべき。
また、公式生放送『プロセカ放送局』という配信コンテンツが存在するため、今月中の当該生放送(第2部)では今回の事件に関する、字面だけでは示すことができないより具体的な対応や見解について述べるべきだと思う。
削除後のゲーム内の対応
主に4つの課題が掲げられる。
クリアデータへの影響
ゲーム内に存在する総曲数そのものが減少するため、クリア数・フルコンボ回数・AP回数は当然、今回削除される2曲の数値分がそれぞれ差し引かれることになるだろう。
それに伴い、例えば曲数に応じた称号も一部の場合は称号グレードが下がることにはなるが、まさかそれについて我儘を漏らす者はいるまい。流石に。
楽曲入手に用いたアイテムの返還措置
「どんな結末がお望みだい?」はプレゼント楽曲であるため、「アサガオの散る頃に」の入手に関わる返還措置となる。
まず、「アサガオの散る頃に」を入手するために使用した「ミュージックカード」(10枚)は返還されるべきだろう。
加えて、「アサガオの散る頃に」のアナザーボーカルに「望月穂波」のものが存在するが、こちらを入手しているプレイヤーに対しても「穂波のボーカルカード」(1枚)を返還すべきと思える。
キャラクターランクへの影響
影響が及ぶのは「アサガオの散る頃に」の望月穂波のアナザーボーカルを入手したプレイヤーだろう。
「アサガオの散る頃に」(望月穂波Ver.)を入手したプレイヤーは、望月穂波のキャラクターEXPを1つ入手している。
中には、望月穂波の現在のキャラクターランク数値に関わっている場合もある。
考えられる対応は次の3通り。
1. 望月穂波のキャラクターEXPをそのまま保有させる
「アサガオの散る頃に」(望月穂波Ver.)を入手したプレイヤーのキャラクターEXPをそのままにしておく措置。
入手済みプレイヤーにとっては何の問題もなさそうだが、問題はそのアナザーボーカルを入手していないプレイヤーとの間に生じる格差であり、入手していないプレイヤーは入手済プレイヤーと常にキャラクターEXPに「1」の差(存在するはずのない曲が原因となる)が生じることになる。
2. アナザーボーカル未所持プレイヤーにも望月穂波のキャラクターEXPを+1させる
前述の、「アサガオの散る頃に」(望月穂波Ver.)を入手したプレイヤーと未入手プレイヤーの間に生じる「1」の格差を埋める方法。
「アサガオの散る頃に」(望月穂波Ver.)を入手していないプレイヤーに、望月穂波のキャラクターランクEXPを「1」与える措置。
格差自体は存在しなくなるが、こうなると全プレイヤーが「望月穂波だけ、存在するはずの無い曲でキャラクターランクEXPを1稼いでいる」という歪な事態になる。
3. アナザーボーカル所持プレイヤーの望月穂波のキャラクターEXPを-1させる
同じく、「アサガオの散る頃に」(望月穂波Ver.)を入手したプレイヤーと未入手プレイヤーの間に生じる「1」の格差を埋める方法。
「アサガオの散る頃に」(望月穂波Ver.)を入手しているプレイヤーの、望月穂波のキャラクターランクEXPを「1」減らす措置。
「1」だけ減らすことで望月穂波のキャラクターランクが低下する場合も考えられるが、こうすることにより他キャラクターのアナザーボーカルによるキャラクターランクEXPと比較しても特別な措置が講じられていることもなく、プレイヤー同士のキャラクターランクEXPの格差の発生も抑えられる。
現実的に綺麗に収まるのは、第3項の「アナザーボーカル所持プレイヤーの望月穂波のキャラクターランクEXPを-1させる」だろう。
楽曲削除に伴う楽曲補填の有無
個人的に、楽曲そのものの補填をする必要性は到底見当たらないものと考える。
特に、ワンダーランズ×ショウタイムの書き下ろし曲「どんな結末がお望みだい?」については特定キャラクターのイメージソングであり、その1曲が損なわれることの意味は大きい。
しかし、「どんな結末がお望みだい?」を補填する曲を用意したとしても、それは「殺人未遂を行った人間の尻拭いをするために生まれた曲」というイメージだけがついてくる。
それを特定のキャラのために作り上げて歌わせるべきではないし、そのキャラクターのファンであればなおさらだろう。
7月11日追記
正式な削除対応
7月5日付で公式から楽曲削除対応の日時と内容を告知。
7月9日のメンテナンスで楽曲削除やデータ調整・アイテム補填が実施された。
データ調整
内容は下記の通り。
- 削除される2曲でカウントされた分だけ「クリア」「フルコンボ」「AP」「MVP」「SUPERSTAR」を減算
- 上記減算に伴い、「クリア」「フルコンボ」「AP」「アナザーボーカル解放」の称号のカウントも減算
- 望月穂波のアナザーボーカルミッションのカウントの疑似的減算(具体的には、「アサガオの散る頃に」のアナザーボーカルがカウントされている場合、減算はしないが次の望月穂波のアナザーボーカルを入手した場合、一度だけキャラクターランクEXPが加算されない措置)
- ランクマッチの解放条件のカウント数に削除される2曲が含まれていた場合、その曲のプレイ数だけ減算
- 楽曲マイリストに削除される2曲が登録されている場合、自動削除
補填
- 「アサガオの散る頃に」を入手していたプレイヤーに、入手時のコストとなっていた「ミュージックカード」(10枚)を補填
- 望月穂波のアナザーボーカル「アサガオの散る頃に」を入手していたプレイヤーに、「穂波のボーカルカード」(1枚)を補填
データ調整・補填のどちらの内容も、概ね自分が予想した通りのものとなっている。
各種動画サイトの公式アカウントからも、「どんな結末がお望みだい?」のMVが削除されていることも確認できる。
ただ、配信・販売サイトでの楽曲については、停止されているものとそうでないもので分かれている。
事件発覚~対応の意向を表明~対応実施までの期間が1ヵ月以上とかなり長く、本件における危機意識の低さと対応の杜撰さは批判されて然るべきだろう。